人工膝関節置換術には、膝関節の内側・外側の両方を置き換える TKA(人工膝関節置換術)と、傷んでいる片側だけを置き換える UKA(人工膝関節単顆置換術)の2種類があります。どちらが適しているかは、軟骨損傷の範囲や靭帯の状態などによって判断されます。

TKAとUKA ー 2種類の人工膝関節置換術

TKA(人工膝関節置換術)とは

膝関節の内側(内顆)と外側(外顆)の両コンパートメントを人工関節に置き換える手術です。変形性膝関節症が広範囲に進行している場合や、靭帯機能が損なわれている場合に選択されます。

UKA(人工膝関節単顆置換術)とは

傷んでいる片側(内側または外側)のみを人工関節に置き換える手術です。健常なコンパートメントや靭帯を温存できるため、骨や組織を削る範囲が小さく、体への侵襲が少ないとされています。

項目 TKA(置換) UKA(単顆置換)
置換範囲 内側・外側の両方 片側(内側 or 外側)のみ
骨切除量 多い 少ない
靭帯温存 前十字靭帯は切除されることが多い 前十字靭帯・側副靭帯を温存
適応範囲 広い(進行例にも対応) 限定的(条件を満たす症例のみ)
手術の侵襲 比較的大きい 比較的小さい

UKAの術後成績 ー エビデンスから

Wilson HA らによるシステマティックレビュー・メタ解析(BMJ, 2019)では、UKA は TKA と比較して以下の点で良好な結果が報告されています。

  • 入院期間が短い
  • 術後の短期合併症(深部感染・静脈血栓塞栓症など)が少ない
  • 術後の回復が速く、膝機能スコアが良好

一方で、UKA は TKA と比べて再置換率がやや高いことも報告されています。ただし、これは UKA の方が再置換のハードルが低い(片側置換から全置換への変更が比較的容易)ことが一因とも考えられています。

UKAの適応条件

UKA はすべての患者さんに適応できるわけではありません。以下の条件を総合的に評価して術式を選択します。

UKAが選択できる条件

  • 内側または外側のいずれか一方のコンパートメントに限局した軟骨損傷
  • 軟骨損傷が前方に限局している(後方まで及んでいない)こと

UKAが適さないケース

  • 側副靭帯の弛み: 内反・外反ストレスをかけた際に側副靭帯の不安定性がみられる場合
  • 後方の骨硬化像: 側面X線画像で後方に骨硬化像がみられる場合(軟骨損傷が後方まで及んでいることを示唆します)
  • 膝の可動域制限: 屈曲拘縮や伸展制限が顕著な場合

まとめ

TKA と UKA にはそれぞれ特徴があり、どちらが適しているかは膝の状態によって異なります。UKA は体への侵襲が小さく、良好な術後成績が報告されていますが、適応が限定されます。最終的な術式の選択は、画像所見や診察所見を含めた総合的な評価に基づいて判断されます。

参考文献

Wilson HA, Middleton R, Abram SGF, et al. Patient relevant outcomes of unicompartmental versus total knee replacement: systematic review and meta-analysis. BMJ. 2019; 364: l352. DOI: 10.1136/bmj.l352